気候変動対応部門
<目標>
気候変動影響予測に基づく適応・緩和研究から社会実装への先導
<概要>
地球・地域規模の気候変動による現象やメカニズムの解明とそれらの影響評価や対策(緩和策・適応策)に関する研究を行います。さらに、地球・地域規模で起きている急激な環境変動や自然災害に対して、自然環境及び人間・社会のレジリエンスをどのように構築できるかについて研究します。
<部門紹介>
気候変動対応部門では、気候変動適応策及び緩和策以外にも、防災・減災など多種多様な研究分野を扱っています。例えば教育においては、工学部の都市システム工学科と連携しながら進めてきた防災と都市環境を扱ったこれまでの内容に加えて、今後は環境教育、環境研究総合推進費(S-18)プロジェクトとの連携等、新たな分野にもチャレンジして行くことをビジョンとして掲げています。
全国の中でも茨城県は、トップクラスの農業生産高を誇り、日本第3位の面積の湖沼として霞ヶ浦(北浦)を抱えています。これまで、このような地域における貴重な資源を活かして、湖沼環境の保全に対する研究を行ってきました。今後はこのようにして蓄積した地域での経験を、海外の流域環境の議論にも展開しながら、新たな研究テーマにチャレンジして行くことを考えています。
現在、気候変動対応部門で取り組んでいる研究課題は、学内各部局や研究機関と共同で実施しているもの、研究グループを作って取り組んでいるもの、海外のフィールドを対象として進めているもの、個人が進めているものなど多岐に渡っています。
2020年から始動した日立市のプロジェクト(Scientifically Sustainable Life Support(3S)Hitachi Project)では、日立製作所からの「安全・安心な街」を作りましょうという提案に対して、技術的な面から提案を行っていきます。ここで得られる技術的な知見と人文社会科学部の先生による知見を組み合わせることで、新たなテーマの模索にもつなげていきたいと考えています。
今年度から開始した環境研究総合推進費(S-18)では、河川区域のバイオマス(木材、動物の死骸などの動植物から生まれた再利用可能な有機性の資源)と気候変動適応との関連性を研究しています。他にも国連の課題に関連したものとして、マーシャル諸島にあるエネコ島(Eneko Island)で、星の砂(star sand:有孔虫が死んだ後に残る殻)と気候変動の関係性の調査をしています。
Eneko Island(Marshall諸島)を上空からドローンで撮影
その他に、県内でのCO2濃度の変動を電子百葉箱の設置によって測定するなど、多種多様な研究活動を行っています。今後は、このような活動から得られたデータを基にして適応ライブラリを構築し、茨城と世界を扱うオープンデータソースとして公開して行く予定です。
ご参加頂ける先生方には、このような多岐に渡るGLECの活動に関わってもらうことを通じて、これまでの個人レベルで培ってきた体系的学問に、少々スパイスを足すようなイメージで、新たにチャレンジしてもらえるフィールド作りを目指したいと思っています。最終的にはGLECでの活動が、学生・若手研究者の人材育成につながるなど、社会へ還元できるものになればと思っています。GLECは4部門に分かれてはいますが、研究課題を部門ごとに限定するのではなく、学内部局・研究機関と連携しながら、お互いの強みを活かしつつ課題の探索と実施を行い、機関の強化・人材育成につなげていきたいと考えています。
~学生へ向けて~
頭と口を動かすことに加えて、むしろ、先立って、体を動かしましょう!物事、実践の中に活路あり。学ぶことを学んでみましょう。一つの素朴な疑問でも、大きな課題でも、とことん掘り下げて考えたり取り組んだりした体験のみが本当の成功を導きます。
田村 誠■■■ |