気候変動影響予測・適応評価の総合的研究(S-18)

実施期間:2020-2024年度
研究代表者:三村信男(茨城大学 GLEC特命教授)

世界的な気候変動の影響の顕在化や我が国における悪影響への対処の必要性を背景にして、2018 年に「気候変動適応法」が成立しました。2025年には次の全国的な影響評価とそれに基づく適応計画の見直しが行われます。同時に、2019年の台風19 号災害など気象災害の激化などに対応して、自治体や企業でも適応策の立案・実施が必要とされています。国際的にはパリ協定の実施に向けた科学的貢献も求められており、こうした国内外の課題に応えるため、本プロジェクトでは、「我が国の気候変動適応の取り組みを支援する総合的な科学的情報の創出」を目的にして、最新の科学的知見に基づいて影響予測・適応評価に関する研究を行います。


茨城大学-日立製作所連携プロジェクト

「住み続けられる街・地域」を実現する(SDGs11)

日立市において「住み続けられるまちづくり(SDGs11)」を実現するため、日立市と長い歴史をともに築き上げてきた茨城大学と日立製作所が連携し、日立市および茨城県北地域の持続的な発展に貢献していきます。日立市の有する諸計画と連携・連動していくことを視野に置き、茨城大学、日立製作所が共同で研究・調査分析を行い、これを通して地域の市民や行政との対話中で日立市の将来ビジョンを描き、その実現のためのロードマップを策定します。

本プロジェクトは、2020年度は、以下の3つのグループで実施しています。
①市民の生存基盤(PRs*)が確立される街(SDGs16) Potential realizations
②安全安心な街を創る~3S* technology~ (SDGs13、14、15):3S*: Scientifically Sustainable life Support
③持続的安心安全を実現するエネルギー基盤(SDGs7、13) 都市ガス水素混焼

▻①市民の生存基盤(PRs*)が確立される街(SDGs16) Potential realizations
第1期:2020/4~2021/3
主な研究参加者:西野由希子、蓮井誠一郎、小寺昭彦、GLEC人間・社会経済部門
「ひたちビジョンを描く」ことを目的に、全4回の「ひたちビジョン創生ワークショップ」を開催。本学学生・教職員と日立製作所の社員の方とがメンバーとなってワークショップを行い、日立市の人口動態や地域資源等について学ぶとともに、他都市の事例等を参考にしながら、「ひたちビジョン」を検討しています。

▻②安全安心な街を創る~3S*-Project~
*Scientifically Sustainable life Support Project
実施期間:2020-
主な研究参加者:増澤徹、桑原祐史、小林薫、藤田昌史、辻村壮平
特に、工学系の内容においては、環境と防災を専門とする工学部ライフサポート教育研究センターおよび工学部都市システム工学科教員と連携を取り、都市空間の社会インフラ、音環境そして防災情報を組み合わせたSafety Areaの提案とその検証を目指し、文系の方々や市民の意見との連携のもとで研究を進めています。


霞ケ浦における大気沈着の汚濁負荷に関する調査研究

主な研究参加者:黒田久雄(農学部)、中里亮治(GLEC)、堅田元喜(特命研究員)、茨城県霞ケ浦環境科学センター

茨城県の霞ケ浦流域における大気観測により、同流域の大気中アンモニア濃度が 季節風の影響によって空間的に不均一となり、特に、冬季に高くなることが明らかにされました(茨城大学プレスリリース)。このアンモニアが霞ケ浦の湖面に養分として溶け込む量(沈着量)を推計するために、茨城県霞ケ浦環境科学センターと共同で降雨沈着量や水面へのガス吸着量の測定手法の確立に取り組みます。


日本学術振興会研究拠点形成事業B.アジア・アフリカ学術基盤形成型「東南アジアにおける気候変動適応科学のための研究拠点ネットワーク形成」(2018~2021)

実施期間:2018-2021年度(*本プロジェクトは当初2020年度までの3年間の予定でしたが、COVID-19により2021年度まで期間延長されることになりました。)
研究資金:日本学術振興会(JSPS)
主な研究者(茨城大学):伊藤哲司、田村誠、小寺昭彦、石川由紀、坂上伸生

本事業の目標は、①東南アジアの地域性を考慮した新しい適応研究アプローチの開発、②各国・地域で社会浸透させられる実践的な適応オプションの提示、③若手研究者育成と研究拠点ネットワークの構築の3点です。これらを達成するために、GLECが主導的な役割を果たしていきます。本事業では、ベトナムの日越大学、タイのプーケット・ラチャパット大学、インドネシアのボゴール農科大学などをつないだ気候変動適応科学のための研究拠点ネットワークを形成します。防災分野では、東北地方太平洋沖地震や茨城県常総市などで発生した大規模な災害による茨城県への被害と社会的影響を把握し、調査研究を行っています。農業分野では、気候変動適応型栽培技術や水資源管理などが議論されています。


共同研究「歴史資料を活用した減災・気候変動適応に向けた文理融合研究の深化」

実施期間:2020-2023年度
主な研究参加者:田村誠(GLEC)、小荒井衛(理工学研究科理学野)、野澤恵(理工学研究科理学野)、添田仁(人文社会科学部)

2017年に人間文化研究機構国文学研究資料館と茨城大学地球変動適応科学研究機関(ICAS)は、学術交流協定を締結しました。そこで、同資料館が推進する文科省「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」事業の一環で、「歴史資料を活用した減災・気候変動適応に向けた新たな研究分野の創成」という異分野融合型の共同研究を3年間にわたって実施してきました。

茨城大学ICASは地球・地域環境共創機構(GLEC) へ2020年度に改組しましたが、国文学研究資料館とは引き続き「歴史資料を活用した減災・気候変動適応に向けた文理融合研究の深化」というテーマで4年間の研究プロジェクトが進行中です。