流域圏環境部門

~概要~
河川や湖沼、沿岸海域とそれらの流域の環境や生物・生態系等に関する現象やメカニズムの解明を目指して研究を行う。さらに、流域圏の環境や生物・生態系と人との関わりについての調査・分析を通して、そこに内在する課題も把握します。


 

◆◇部門紹介◇◆

水圏環境フィールドステーション(水圏環境FS)は、平成25年に臨湖実験所として全国唯一の文部科学省教育関係共同利用拠点として認定されました。今日、淡水資源の枯渇及び水質悪化が世界的な問題となる中で、持続可能な水環境の保全と利用の両立が重要課題となっています。その中で霞ヶ浦は、人間活動による水質悪化や外来種の侵入などによる深刻な水環境問題に直面しており、これまでの水質の変化や環境負荷の動態、福島第一原発事故に由来する放射性物質に関する豊富なデータを蓄積しています。湖沼環境・生態系と人の関わりを多角的に理解し、人々の湖沼の健全な利用を目指した教育・研究を展開していくために、霞ヶ浦が絶好のフィールドとして位置付けられたことが背景となっています。

霞ヶ浦は日本の湖沼でも様々な水環境問題に直面

現在、水圏環境FSは本学の職員又は学生以外にも、他大学や小中高等学校の生徒、また企業や市民の研修等にもご利用頂いている状況です。
流域圏環境部門では、専任教員による様々な研究が展開されています。霞ヶ浦に関係した具体的な研究としては、水域の生物多様性や生態系保全に関わるもの、外来種の生態、湖内の堆積物動態解析などが挙げられ、霞ヶ浦以外を対象とした研究では、日本沿岸域を主な対象とした物理現象の研究、福島での帰還困難区域における放射性セシウム濃度のモニタリングなどが挙げられます。
この他にも、茨城県霞ヶ浦環境科学センターや水産試験場などをはじめとして、多岐に渡る共同研究を展開しています。今後の課題は、他部門と連携した研究課題の探索と実施をいかに推進して行くのかということです。

水圏環境FSにおけるフィールド実践教育の主な目的は、これまでの霞ヶ浦での蓄積データ及び湖沼、水産、防災などに関連する地域資源を有効活用しながら、学生に水環境問題を抱えている現場での感覚を養ってもらうことです。教育内容としては、環境調査や水生生物調査をはじめ、生物多様性の保全、水資源・湖沼流域の環境管理・地域防災など、幅広いテーマを扱っています。公開臨湖実習プログラムでは、生物系、地質系、物理・化学系実習の基礎から応用編まで幅広く展開しています。今年度はコロナ禍の影響により、実習を開講するのが困難な状況でしたが、学生に現場での感覚を培ってもらうため、実習を中止することなく、何とかリモートでの実習の開講を実現できました。

水圏環境FSが教育関係共同利用拠点として認定されて以来、共同利用者数及び公開臨湖実習参加者数は飛躍的に増加しています。今後の課題としては、現状のコロナ禍で、いかにして他大学からの実習参加者数を増やしていくかということです。そのためにも、リモート実習態勢の強化・整備を目指していきたいと考えています。

~学生へ向けて~

流域圏環境部門の専任・兼務教員は、水環境に関する授業や実習を担当しています。授業アンケートなどを見ますと湖沼・河川の外来種、生物多様性の保全、水質悪化などの水環境問題に興味を持っている学生が多くいることが分かりました。私達はそのような学生に対して、次の人材を育てていきたいと考えています。①水環境の基礎から応用までを身につけた人、②湖沼環境問題や地域防災に対応できる人、③湖沼生態系保全・環境教育を担える人、および④地球・地域規模による環境改変が湖沼生態系に及ぼす影響評価とその解決策の提案ができる人。

中里 亮治(流域圏環境部門長)