2月13日に国文学研究資料館において、同資料館とICASとの3年間にわたる共同研究に関するシンポジウムが開催されました。総勢43名の参加者が出席し、大学教員や研究者のみならず学芸員や一般の方の参加も多く見られました。
当日は、「歴史資料を活用した減災・気候変動適応に向けた新たな研究分野の創成」に向けて、これまでの共同研究の成果と今後の展望について、活発な議論が繰り広げられました。ご来場頂いた皆様、どうもありがとうございました。

開会ご挨拶

ロバート・キャンベル館長

 

初めに、ロバート・キャンベル館長より開会のご挨拶を頂いた後、登壇者として小荒井先生と修士2年生の福士さん(地震災害)、添田先生(歴史史料収集)、野澤先生(古気候学)、渡辺先生(江戸災害史)が発表されました。

小荒井先生

福士さん(小荒井研究室)

野澤先生

添田先生
渡辺先生(国文学研究資料館教授)

 

 

 

様々な研究分野の専門家からの発表は、現在まで保存されている古文書資料から読み解ける「地震建物被害と地形・地質との関係」、「”惣囲堤”など自然災害に対する知恵」、「古気候」、「江戸時代の水害対策」など内容も多岐に渡るものでした。

4名の報告を終えて、田村先生(気候変動適応科学)と国文研の西村先生がモデレータとなり総合討論を行いました。田村先生は本共同研究の当初計画と3年間の成果を総括した後、残された課題について報告者やフロアに問題提起しました。その結果、文理融合型研究によって自身の研究対象が以前よりも広がり、新たな研究者とのつながりもできたことで多くの発見につながったとの声や、3年間という研究期間はほんの始まりに過ぎず、今後より良い成果が見込まれるのではないかといった感想が多く聞かれました。

総合討論

 

 

 

 

 

 

 


2017年5月、人間文化研究機構国文学研究資料館と茨城大学地球変動適応科学研究機関は、学術交流協定を締結しました。そこで、同資料館が推進する文科省「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」事業の一環で、「歴史資料を活用した減災・気候変動適応に向けた新たな研究分野の創成」という異分野融合型の共同研究を3年間にわたって実施してきました。本シンポジウムでは、様々な専門分野の研究者が一堂に会し、これまでの成果と今後の展望を議論します。

2020年2月13日(木)13:30-17:00 [13:00開場]
国文学研究資料館2階 大会議室 [アクセス]

講演

  • 「古文書や古地図を使った文理融合の地震災害研究―1847年善光寺地震の松代での事例―」
    小荒井 衛〔茨城大学理学部 教授〕 ・福士 沙織〔茨城大学理工学研究科修士2年〕
  • 「水とともに生きた江戸時代―関東・東北豪雨の水損資料から見た治水史―」
    添田 仁〔茨城大学人文社会科学部 准教授〕
  • 「古日記を用いた古気候の復元―大高氏記録からみる安政四年(1857)の夏―」
    野澤 恵〔茨城大学理学部 准教授〕・宮崎 将〔茨城大学理工学研究科修士2年〕
  • 「江戸の連続複合災害―天明期(1781-88)と安政期(1854-59)―」
    渡辺 浩一〔国文学研究資料館 教授〕・平野 淳平〔帝京大学文学部 准教授〕

総合討論

  • モデレータ : 西村 慎太郎〔国文学研究資料館 准教授〕/田村 誠〔茨城大学地球変動適応科学研究機関 副機関長・准教授〕